闇の貴公子目次
公演情報
シノプシス
制作発表記者会見
原作者の言葉
テキスト

画像
メインキング
ポスター撮り
本読み・振付
リハーサル(大阪)
パブリシティ



 
 
2001年3月2日 朝日新聞

ブラボ

OSK日本歌劇団「闇の貴公子」
ロックと歌舞伎で躍動感


 鳥居の下に設けられた階段状の舞台を、ロック調の音楽に乗って平安朝の都人やよろい姿の武士が動き回る―。OSK日本歌劇団の新作ミュージカル「闇の貴公子」はまるで若者劇団「新感線」の舞台を思わせる冒険活劇のようで、歌劇団の意外な一面を見せている。
 洋あおいと那月峻の「二人トップ」になっての第二弾。演出を兼ねる北林佐和子が、夢枕獏の「陰陽師」シリーズをモチーフに、大江山の鬼や、「葛の葉」伝説などを織り込んで、笛の名手源博雅(洋)と陰陽師安倍晴明(那月)の友情物語に書き下ろした。
 博雅が恋に落ちたナゾの姫(沙月梨乃)は、実は都を騒がす大江山の鬼、酒呑童子(初瀬みき)の妹だった。親友の窮地を救おうと、晴明は黒幕の蘆屋道満一味と対決する。
 虐げられた先住民族―という考え方に立つ鬼は、世を恨む心と人間らしい心を併せ持つ。博雅は姫の優しさの方に引かれ、禁断の恋に突き進んでいくという設定だ。
 那月は歌に磨きがかかり、洋は悲劇の主人公をきりりと好演。トップ二人を千爽貴世、若木志帆、北原沙織、美森あいかといった層の厚い「娘役」陣が支える。
 世を呪う道満の狙いがわかりにくく、立ち回りも単調な動きの繰り返しで多少メリハリに欠けるものの、随所で見えをきる歌舞伎伎手法を駆使した北林の演出がさえ、好感の持てる娯楽作品に仕上がっている。松岡ふみおや作曲のロック調のテーマ曲や感傷的な響きの「葵祭」も舞台を盛り上げている。
 きびきびとしたダンスで構成するカーテンコール形式のフィナーレがある。4日まで大阪・上本町の近鉄劇場で。6月には東京と名古屋で再演される。(植)