29、30日に近鉄小劇場OSK「Blind(ブラインド)」

真夏の昼下がり、肌に寒さがスーッと忍び寄るようなミュージカルで暑さを吹き飛ばしてくれる。OSK日本歌劇団が29、30日に近鉄小劇場で行う「Blind(ブラインド)」は小泉八雲が編纂(さん)した奇談をもとにしたミュージカルだ。 　盲目の琵琶の名手、芳一が、平家の亡霊に取りつかれた。師匠は芳一の体全体に経文を書き、亡霊の目から彼の体を見えなくしてやるが、耳への経文を書き忘れる。そのため芳一は亡霊に耳を引きちぎられ、視力に加えて聴力までなくしてしまう悲しいストーリー。
	「Blind」は盲目の、芳一を主人公に、超常現象、連続殺人も起きる異色ミュージ カル

小泉八雲の奇談が原案

「Blind」は時代を中世から現代に変え、平家の亡霊も源義経など源氏側に起きかえた。 　芳一は盲目の人気作曲家で、港近くの倉庫で９人の不思議な男女に歌を披露する。９人の男女は、実は源義経や源頼朝、義経の恋人の静御前らで、彼らの本性があらわになるにつれ、連続殺人や超常現象が起こり始める。そして事件を解き明かそうとする芳一に、魔の手が迫る。 　作・演出を手がけた北林佐和子氏は「盲目ゆえの恐怖感、先の見えない未来への焦燥感などの心的表現の一つとして窓のブラインドを舞台に象徴的に配してみました」と舞台上の工夫を語る。波輝一夢、北原沙織ら女性だけで演じるホラー・ミュージカルが、ひんやりとした涼しさを届けてくれる。